大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)114号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕そこで、本件審決に原告主張のような違法事由があるか否かを検討する。

引用例には、「スポンジゴム或いは軟質ゴムよりなる任意の長さの体に縦方向に適宜の深さの横断面V字形の切込みを設け、かつ、必要により、その切込端部に鰭片を突設して成る隅角被覆具」が記載されており、右隅角被覆具は、その切込部を柱、卓、火鉢、陳列棚等の物体の隅角部に当てはめ、接着剤ないし釘によつてこれらの物体に取り付けるものであり、このようにして、軟質ゴムの弾性により、外部からの衝撃に対し物体の隅角部を保護するとともに、人体の衝撃時における怪我傷害の防止に役立つものであることを認めることができる。

一方、本願考案にかかる建築材保護板は、横断面にL字形部分を有する柱等の建築材を磨き上げた状態で運搬等する場合に、右L字形部分の角部を保護し、他物との接当による破損を防止しようとするものであり、使用に際してはこれをセロテープ等で連結して係止したり、紐状等によつて囲繞状態に締付けて用いたりするが、いずれにせよ、後に取り外して数度にわたり使用するものであり、また、材質は、着色材料からなる合成樹脂製のものを実施例として挙げてはいるが、引用例に用いられているような軟質弾性体のものは予定していないことを認めることができる。

以上認定の各事実に前記認定の本願考案の要旨を総合して検討すると、使用する対象及び使用の態様において、引用例記載のものは、室内物品に固着したままにしておくのに対し、本願考案の建築材保護板は、柱等の建築材料を運搬等する場合に角部に係止して、後に取り外すものである点において相違するのみならず、引用例記載のものは、軟質弾性体で体を構成しているので、他物がこれに突き当つた場合、その部分及び近傍附近で衝撃を吸収し、隅角部の破損を防止するものであつて、鰭片は右衝撃の防止にかかわりのない、取付けのための補助的部分にすぎないのに対し、本願考案のものは、保護板を構成する板体の材質について特に限定はないけれども、引用例に用いられているような軟質弾性体のものとは異なる比較的硬質のものより成る板体であつて、他物がこれに突き当つた場合、保護板全体で衝撃を吸収し、L字形の両翼延出部分も、柱等の建築材の側面に密接して建築材と共に衝撃を吸収する作用を有するものであつて、引用例の鰭片のように単なる取付けのための補助的部分とは異なる点において、構造上根本的相異があるものと認めるのが相当である。他にこの認定を左右しうべき証拠はない。

以上の認定によれば、引用例記載のものと本願考案のものとは、使用の目的及び態様並びに基本的構成を異にする物品であつて、右両者をもつて、単に断面形状の点で相違するにすぎないと断じ去ることはできないのであることが明らかである。したがつて、引用例記載のものと本願考案のものとは、共に建築材の角形隅部用保護板に関するものである点で一致し、その断面形状において相違するが、右前者は、後者のL字形角部厚さを十分に大きくしたものに相当し、この程度の相違は、当業者が必要に応じてきわめて容易に考案できるものであるとした本件審決は、まず、引用例記載の物品の認定を誤り、ひいてはこれと本願考案のものとの比較に関する判断を誤つた違法があるといわざるをえない。

三 よつて、その主張のような違法のあることを理由に、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由ありとしてこれを認容する。

(服部高顕 石沢健 滝川叡一)

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